めぐみ保育園でのことですが、2才のA君はまだ「抱っこ」が好きで、特に夕方は「先生、抱っこ」と言います。その時は「抱っこ」をして空の雲や、カラス、木、花、車などを見ていろんな話をしたり、膝の上に座っておもちゃで一緒に遊んでお迎えを待ちます。そしてお母さんが来られると機嫌よく帰っていきます。
8月のプールの時、2才のB君がプールからあがり、身体を拭き、服を着る指導をしていた私に、先にプールからあがって遊んでいたA君が「先生、抱っこ!」と言ってきました。この時はB君にしっかり服を着る指導をしたかったので、私は「困ったな」と思いました。
それで、難しいとは思ったのですが「A君、先生、B君が服を着るお手伝いをしたいから今抱っこはできないの。今日も夕方いっぱい抱っこできるから、今は我慢できる?」と丁寧に今の状況を説明すると、「わかった!」と嬉しそうに離れ、近くのおもちゃで友達と遊び始めました。「イヤだー」と言うか、泣くかどちらかだろうと予想していたので、私はこの意外な反応に驚き、成長を感じ嬉しくなりました。もちろんその日の夕方は「抱っこー」と約束通り言ってきたので抱っこして過ごしました。最近は「抱っこー」と言うことも減りました。
乳幼児期は安心して過ごすことが大切です。子どもさんは「私を安心させてください」と常に思っています。大人が自分の秩序で「もういいでしょ」「○○にして」と関わり方を決めるのではなく、子どもの方から「もういい」と本人が納得するまで関わる事で思いやり、意欲、やさしさなどのよい感情が身につきます。満足できないと、人との信頼関係に不安になり、大人が思う反対の事をして確かめたくなります。
それは今後、人と人が正しく関わって生きていくための本能がこの乳幼児期にあるからだと思います。
子どもさんは自分の置かれた環境(家族、1日の流れ等)を大人が思う以上によく理解し、また理解しようと見て、聞いて、感じています。将来、楽しみな子ども達です。日々大変ですが「一生のうち、今しかない」と大人が体当りで安心できる生活をさせてあげましょう。
我々保育士も日々がんばります。